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不動産売却時リフォームの効果はどこまで期待できる?費用対効果や注意点を知って納得の取引を目指そう

不動産高く売りたい

藏屋  和人

筆者 藏屋  和人

不動産キャリア27年

株式会社暮らしエステート  代表取締役。宅地建物取引士。金沢市内の不動産会社で22年勤務の後、株式会社暮らしエステート設立。住宅用土地販売、空家相談などを中心に様々な不動産に関する取引をおこなっています。

ご所有の不動産をより高く売却したいとお考えではありませんか。しかし、リフォームを施すことで実際にどの程度価格や売却率が上がるのか、また費用対効果や注意点についてご不安な方も多いのではないでしょうか。本記事では、不動産売却におけるリフォームの効果や目的、費用対効果の高いリフォーム箇所、注意点、さらにはリフォーム以外の選択肢まで、どなたにも分かりやすくご案内します。高値売却の成功ポイントを一緒に押さえましょう。

リフォームの効果とその目的

売却前におこなうリフォームは、買主に与える第一印象を確実に引き上げる力があります。たとえば、内覧の際に「明るさ」や「清潔感」「整理された印象」が伝わると、高い評価につながることが多く、早期成約や希望価格での売却を後押しします。

また、リフォーム済み物件であれば、買主が余計な手間をかけずに「すぐに住める」状態を提供できるため、物件の魅力を具体的に感じやすくなります。

ただし、リフォームに要した費用をそのまま売却価格に上乗せできるとは限らず、一般的には掛かった費用のすべてが反映されるわけではない点にも注意が必要です。とくに大規模な工事では、回収できないリスクも存在します。

効果内容
印象向上清潔感・明るさ・広さの印象アップ
即入居可能買主の手間が減り、購入意欲が高まる
費用回収の不確実性かけた費用が売価に反映されるとは限らない

費用対効果の高いポイントリフォーム

不動産売却にあたって、特に費用対効果が高いとされる部分的なリフォーム箇所を、絞ってご紹介いたします。

まず、クロス(壁紙)の張り替えは、小さな投資で室内の印象を大きく改善できるおすすめの対策です。6畳間では5万円~12万円程度で対応でき、明るい色調にすることで清潔感や広がりが感じられる空間に生まれ変わります 。

次に、床やフローリングの補修や張り替えです。10万円~30万円程度の予算で対応可能な場合が多く、傷や汚れが目立つ床を整えることで、築年数を感じさせない室内へと変貌させることが可能です 。

さらに、水回りの簡易リフォームも非常に効果的です。清掃や小規模な補修を中心に行えば、それぞれ5万円~15万円程度で対応でき、「すぐに住める家」として買主の購買意欲を高める効果が期待できます 。

外観や玄関周りの美装も重要です。10万円~50万円程度の予算で部分的な塗装や補修を行うことで、建物の管理状態が良好だと感じさせる印象を与えることができます 。

また、ハウスクリーニングは費用対効果が高い手法です。居住面積にもよりますが、5万円~10万円程度で専門清掃を依頼でき、水回りや生活臭の改善により、内覧時の印象を格段に向上させることが可能です 。

なお、リフォームの内容と費用対効果を一覧で整理いたします。

箇所主な内容費用目安
壁紙(クロス)張り替えによる清潔感向上約5万~12万円/部屋
床・フローリング傷の補修や張替え約10万~30万円
水回りキッチン・浴室・トイレの簡易清掃・補修各5万~15万円
外観・玄関部分塗装・補修による印象改善約10万~50万円
ハウスクリーニングプロによる徹底清掃約5万~10万円

以上のように、規模の大きな工事ではなく、限られた範囲に手を入れる「ポイントリフォーム」は、比較的少ない投資で印象を大きく改善でき、売却活動において高い費用対効果を発揮しやすい手法です。

リフォームの注意点と判断基準

不動産を高く売りたいと考える際、リフォームの効果に期待したくなるものですが、注意すべき点も少なくありません。

まず、リフォームには費用対効果を十分に見極める必要があります。通常、リフォームにかけた費用のうち、売却価格に反映されるのはおよそ5割から7割程度にとどまるのが一般的です。特に全面的な改修や高価な設備への交換は、投資に見合わないケースも多くあります。個性的すぎるデザイン変更や間取りの大幅な変更は、買い手の嗜好と合わず逆効果になることもあります。水回りや壁紙など、印象を清潔に整える費用対効果の高い小規模なリフォームに留めるのが賢明です。

また、リフォームによって購入後の住み替えを前提とする買い手からは、むしろ敬遠される場合もあります。中古物件の購入者の多くは自分好みに改装したいという意向を持っており、リフォーム済み物件は購入価格が高くなるため、かえってマイナスになることもあるからです。

さらに、工期の遅延リスクも軽視できません。リフォーム中は売却活動が停止し、売り時を逃す可能性があります。加えて、大規模な改修を行った場合、建築確認申請が必要となり、固定資産税が上がる恐れもありますが、クロスの張り替え程度であれば税への影響は基本的にありません。

こうした注意点を踏まえたうえで、リフォームを行うかどうか、どこまで行うかは慎重に判断すべきです。物件の築年数、状態、ターゲット層に応じて、費用対効果を試算し、場合によっては現況のまま売り出す「現況渡し」戦略を検討することも重要です。判断が難しい場合は、リフォーム前と現状の両方で査定を依頼し、比較することをおすすめします。

判断基準 詳細内容
費用対効果 投資費用の50~70%程度の反映率を想定
買主の嗜好 リフォーム済みより、購入後の自由改装を希望する傾向がある
工期・税金への影響 大規模工事による売却遅延や税率上昇の可能性がある

リフォーム以外の選択肢と戦略的活用

中古住宅や中古マンションの売却にあたって、リフォームだけが有効な選択肢ではありません。以下に〈リフォーム以外の選択肢とその特徴〉をまとめた表をご覧ください。

選択肢メリット留意点
現況のまま売り出す(現況販売)リフォーム費用がかからず、販売活動を即開始できる状態が悪い場合、交渉圧が高まり、値引きを迫られやすい
ホームステージング(印象アップ対策)空間を魅力的に演出し、内覧時の雰囲気向上が期待できる費用や演出の方向性に注意が必要
専門家との比較検討・査定リフォームの有無で査定額を比較し、最適な売却戦略を立案できる依頼先により評価が異なるため、複数社を比較することが重要

まず、現況のまま売り出す「現況販売」は、リフォーム費用を抑えたい方や早期売却を希望される場合に有効です。大がかりな工事をせずともすぐに内覧を受けられる点がメリットですが、物件の劣化が目立つと買主から値引きを求められる可能性もあるため、予めそのリスクを理解しておくことが大切です。信頼性の高い情報に基づく判断が求められます。

次に、直接のリフォームではなく室内の見せ方を工夫する「ホームステージング」は近年注目されており、内覧時の印象を大きく改善できます。具体的には家具の配置や小物使いを通じて、空間により魅力を感じさせる手法です。ただし、演出内容が過剰であったり、物件との調和を欠くと買主の心証を損ねる可能性がありますので、方向性や予算をしっかり検討することが重要です。

最後に、リフォームの前後で複数の不動産会社による査定を比較し、どの方法が最も収益に結びつくかを判断することを強くおすすめします。訪問査定では、現地での詳しい状況把握をもとにした適正な価格提示や具体的な販売アドバイスを得られますし、机上査定ではスピーディーにおおよその相場感を掴めます。両者を組み合わせることで、リフォームすべきか否か、あるいは現況のまま売却すべきかの判断材料が豊富になります。

まとめ

不動産の売却において、適切なリフォームは物件の印象を高め、買主の負担を減らし成約へとつながる重要な手段です。特に壁紙や床、水回りといった費用対効果の高い箇所へのポイントリフォームや、ハウスクリーニングなどの手法は、少ない負担で大きな効果を生みやすいです。しかし、過剰なリフォームや買主の好みと合わない仕様にした場合には、逆に売却価格やスピードに悪影響を及ぼすこともあります。また、現況販売や価格戦略、印象アップの工夫なども選択肢として活用できます。売却を成功へ導くためには、冷静な費用対効果の試算と専門家のアドバイスをもとに、慎重に判断することが大切です。

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