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相続不動産の売却時期はいつが良い?タイミングごとの注意点をまとめました

不動産売却について

藏屋  和人

筆者 藏屋  和人

不動産キャリア27年

株式会社暮らしエステート  代表取締役。宅地建物取引士。金沢市内の不動産会社で22年勤務の後、株式会社暮らしエステート設立。住宅用土地販売、空家相談などを中心に様々な不動産に関する取引をおこなっています。

相続した不動産の売却時期について、いつ手放すのが良いのか悩んでいませんか。相続税の納税や空き家の維持、さらには将来的な資産活用など、不動産の売却時期を決める際にはさまざまな観点が関わります。この記事では「相続不動産 売却 時期」に焦点を当て、税制優遇や所有期間、スケジュール例まで分かりやすく解説します。より良い判断の参考に、ぜひ最後までご覧ください。

相続後すぐに売却すべきか、それとも待つべきか

相続した不動産を売却する際には、売りどきを見極めることが重要です。まず、相続税の納税資金を確保する必要がある場合や、空き家の維持費や近隣トラブルなどリスクの高まりを懸念する場合は、早めの売却を検討することが有効です。特に、売却に伴う諸費用や税金、価格交渉の時間を考えると、相続開始から数ヶ月以内に売却に向けた行動を開始することが望ましいとされています(取得費加算の特例適用を考慮すると、売却までに約6か月程度を目安に動く方が安心です)。

一方で、税制上の優遇措置を十分に活用したい場合や、将来的に居住や賃貸など別の活用方法を考えているなら、急いで売るよりも待機する選択もあります。たとえば、取得費加算の特例や空き家の3,000万円特別控除など、適用期限や条件を踏まえて、最適なタイミングと方法を選ぶことが重要です。ただし、これらの特例には期限や適用要件があるため、タイミングを誤ると適用漏れとなるリスクがあります。

早めに売却すべき理由待機も選択肢になる場合留意点
相続税納税資金の確保 税制優遇を最大限に活用したい 特例の適用期限に注意
空き家の維持費や近隣トラブル回避 将来の活用(賃貸・居住)を検討中 売却準備に時間がかかることも考慮
市場状況が良好(査定結果など) 今後の資産価値の上昇を期待 適正価格の見極めが必要

結論として、早期に売却を進めることで相続税や維持費の負担を軽減できますが、税制の特典や将来の活用の可能性を考慮するなら、戦略的に売却時期を検討することも大切です。まずは信頼できる専門家に相談のうえ、自社不動産会社へお問い合わせいただくことで、状況に応じた最適なご提案が可能です。

どのタイミングまでに売ると税制優遇を受けられるか

相続した不動産を売却する際、「取得費加算の特例」と「空き家の3000万円特別控除(空き家特例)」という二つの重要な税制優遇があります。それぞれ適用される期限や条件が異なるため、どちらを選ぶかにより売却のタイミングを検討する必要があります。

取得費加算の特例は、相続開始の翌日から相続税の申告期限(通常は相続開始から10か月以内)の翌日以降、3年を経過する日まで、すなわち「相続開始から3年10か月以内」に売却することで、相続税の一部を取得費に加算して譲渡所得から差し引くことができます。これにより、譲渡所得税の負担が軽減される可能性があります。

一方、空き家特例は、被相続人が居住していた家屋やその敷地を相続した場合に適用可能です。「相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日まで」に売却する必要があります。売却によって発生する譲渡所得から最高3000万円を控除できる点が大きなメリットです。

それぞれ特例の期限と税制効果は以下のようにまとめられます:

特例名称 適用期限 優遇内容
取得費加算の特例 相続開始から3年10か月以内 相続税の一部を取得費に加算し、譲渡所得税を軽減
空き家特例(3000万円控除) 相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日まで 譲渡所得から最高3000万円を控除できる

両方の特例が適用可能な場合は、併用できませんので、どちらを選ぶか慎重に判断することが重要です。

こうした特例の期限を逃さないよう、売却準備は早めに始めることが肝要です。売却活動には通常、数か月から半年ほどかかるため、余裕をもったスケジュールを検討してください。

所有期間と税率の関係から最適な売却時期を考える

相続した不動産の売却に際しては、「所有期間」と「税率」の関係を理解することが重要です。通常、不動産を売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えていれば「長期譲渡所得」、5年以下であれば「短期譲渡所得」として扱われ、税率に大きな差が生じます。長期譲渡所得では、所得税・住民税・復興特別所得税を合計して約20.315%、短期譲渡所得では約39.63%となり、おおよそ2倍近い税負担の差になります。

しかし、相続によって取得した不動産の場合、所有期間は「被相続人が取得した日」から引き継がれます。たとえば、被相続人が20年前に取得した不動産を相続した場合、相続直後に売却しても所有期間は20年となり、長期譲渡所得の税率が適用されることが多いです。

つまり、あと少しで長期譲渡所得扱いになるような場合には、売却を待つことで税率を大幅に下げられる可能性があります。具体的には、売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えるようスケジュールを調整することが節税につながります。

以下に、ご自身がいつ売却を開始すれば節税効果が見込めるか判断しやすくするための検討フレームを表形式で整理しました。

観点 確認内容 考慮すべきポイント
所有期間 被相続人の取得日からの年数 売却する年の1月1日時点で5年超かどうか
税率区分 短期(約39.63%)/長期(約20.315%) 税率差を税負担に換算して節税効果を検討
売却のタイミング 年内売却か翌年以降か 翌年1月以降に回すことで長期扱いになる場合あり

このような検討を早めに行うことで、税制上の優遇を最大限に活かせます。当社では、相続不動産の売却タイミングに即したご相談も承っておりますので、お気軽にご連絡ください。

:相続手続きから売却までのスケジュールの目安

相続した不動産を売却する際には、手続きの進行状況によって売却開始のタイミングが左右されます。以下に、スムーズに売却へ進めるための目安を時系列で整理しました。

項目 内容 目安の期間
遺産分割協議の実施 相続人全員で話し合い、遺産分割協議書を作成 相続開始後すぐ~数ヶ月
相続登記の完了 法務局に相続登記を申請し、不動産の名義を変更 協議後1〜数週間(ただし義務化により3年以内が期限)
相続税の申告・納付 相続税の申告・納付を税務署へ行う 相続開始から10ヶ月以内

まず、遺産分割協議は相続人全員の同意が必要であり、協議書の作成・署名・押印を経て、相続登記へと進みます。協議が整えば、数週間から数ヶ月で登記は完了できますが、相続登記は法律で義務化されており、相続開始から3年以内の対応が求められています。期限を過ぎると罰則が科される可能性がありますので注意が必要です。

次に、相続税の申告・納付は、相続の開始を知った日の翌日から10ヶ月以内に行う必要があります。期限を過ぎますと延滞税や加算税の対象となることがありますので、早めの準備をお勧めします。

以上のスケジュールを踏まえつつ、税制特例(取得費加算の特例や空き家特例など)や所有期間の引き継ぎによる譲渡所得の優遇措置を逃さないよう、売却の開始時期を判断することが重要です。たとえば、相続税申告期限後すぐに売却を行うと、取得費加算の特例を活かしやすくなりますし、所有期間が長期譲渡の扱いに近ければ税率を下げる節税効果も期待できます。

まとめ

相続した不動産を売却する際は、相続税や維持費、税制優遇制度の期限など、複数の視点から最適な時期を見極めることが大切です。早期売却が適している場合もあれば、特例や所有期間を考慮し慎重に時期を選ぶことで税負担を抑えられる可能性もあります。必要に応じて各手続きを計画的に進め、納税や分割協議も見据えたスケジュール管理を心掛けましょう。不安があれば、専門家へ相談しながら、納得できる選択をしていくことが大切です。

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