金沢市で空き家を相続したら何をすべき？売却までの流れと注意点をご紹介

：金沢市で相続した空き家を放置するリスクと法的な義務

金沢市において、相続した空き家を放置すると、思わぬ法的・税務的な負担や近隣トラブルの原因となり得ます。まず、不動産登記法の改正により、相続登記は相続を知った日から原則３年以内に行う義務が課され、これを怠ると過料（10万円以下）が科される可能性があります。相続登記が未了のまま所有者が亡くなると、その後の手続きが煩雑になる恐れもあります。司法書士など専門家による早期対処が安心につながります。

次に、「空き家等対策の推進に関する特別措置法」や金沢市を含む自治体の条例により、空き家の所有者には適切な管理義務が課されており、倒壊や衛生上の問題、景観悪化などが認められる「特定空き家」に指定されると、固定資産税の住宅用地特例が適用除外となり、税負担が数倍に増加する場合があります。管理が不十分な空き家は、近隣への損害賠償責任を問われることもあります。

さらに、空き家を放置することで、老朽化や雑草の繁茂、害虫・害獣の住処となるなど、周辺環境への悪影響も懸念されます。こうした状態は、近隣トラブルや訴訟リスクにもつながり、資産価値の減少にもつながります。早めの売却や活用を検討することで、こうしたリスクを回避でき、安心です。

：金沢市で利用できる特例控除や補助制度とは

金沢市では、相続後の空き家を手放す際に活用できる「譲渡所得の三千万円特別控除」や、老朽化した空き家の解体や狭小地の統合に対する補助制度が整備されています。これらを知って賢く活用することで、税や費用の負担を軽減しながら、スムーズな売却準備が可能になります。

まず、「譲渡所得の三千万円特別控除」は、被相続人の居住用として使われていた家屋および敷地等を相続人が相続開始後三年以内に売却する場合に、譲渡所得から三千万円を控除できる制度です。耐震性のない建物については、耐震リフォーム後または解体後の土地売却など条件がありますが、建築指導課が「被相続人居住用家屋等確認書」を発行してくれます。

次に、金沢市独自の支援として、危険空き家の解体費用補助制度があります。市による現地調査で「危険老朽空き家」と認定された個人所有の空き家の解体工事費のうち、工事費の半額（上限五十万円）が補助されます。さらに、防災まちづくり協定区域・狭小地・無接道地などでは、補助上限が七十万円になる場合があります。また、所有者調査にかかる経費も最大五万円まで補助対象となっています（事前申請が必要）。

さらに、狭小地・無接道地の統合にかかる費用補助制度もあります。単独では売却が難しい土地を隣地と統合する際、測量費・登記費・仲介手数料などの費用の半額、上限三十万円を補助します。この制度も売買契約前の申請が必須です。

以下に、これらの制度を整理した表をご用意しました。

これらの制度を活用する際は、申請期限や手続きのタイミングに注意が必要です。譲渡所得の控除については相続開始から三年以内の売却が対象であり、解体や統合の補助もすべて工事・売買契約前の申請が必須です。そのため、まずは金沢市の建築指導課 空き家活用室や住宅政策課へ早めにご相談いただくことをおすすめします。

金沢市の地価動向と売却しやすいエリアの傾向

金沢市では、全国的に見ても地価が上昇している傾向にあります。2025年の公示地価の市全体平均は約138,056円／㎡（坪単価456,400円）で、前年に比べて＋2.9％の上昇率でした。また、この11年間連続で地価が上がっており、直近10年間の年平均伸び率は＋4.43％と安定した成長を示しています。安心してご売却を検討いただける好機とも言えます。

特に、金沢駅周辺や香林坊・片町地区など利便性の高いエリアでは、地価は全国でもトップクラスの水準です。例えば、〈本町２丁目〉には1,120,000円／㎡（坪3,702,500円）という地点があり、金沢市内で最も高額な地価です。こうしたエリアは需要が根強く、売却時にも有利な状況が多いです。また、香林坊・片町地区は商業地として平均坪単価が185万9,267円と高水準で、価格上昇率も＋8.26％と際立っています。

一方、住宅地としての標準的な価格を見ても、2025年時点で平均は約90,635円／㎡（坪29万9,622円）、商業地の平均は286,879円／㎡（坪94万8,361円）。工業地でも上昇傾向が続いており、幅広い用途で地価が上がっていることが分かります。

また、立地や築年数による査定金額の差も無視できません。駅近など利便性が高い場所は相対的に査定額が高めとなりますし、築浅の物件は構造的にも魅力が高いです。逆に、築年数が古い場合には修繕費の見込みを加味され、査定額が抑えられることもあります。適切なタイミングでご売却を進めることで、こうした査定上の優位性を活かせます。

さらに、地価は年間を通じてゆるやかな上昇傾向にありますが、相場の混雑が少ない春から初夏にかけての時期は、買い手の注目も集まりやすいため、早期に売却を進めることでタイミングメリットを得やすくなります。

このように、金沢市ではエリアごとに差はあれど全体として地価は上昇傾向にあり、特に利便性の高い中心部は売却しやすく、査定額にも大きな影響を及ぼします。ご売却に際しては、エリアの特性や築年数を踏まえて、早めにご相談いただくことをおすすめいたします。

初めての売却をスムーズに進めるためのステップ

金沢市で相続した空き家を初めて売却される方に向けて、手続きを円滑に進めるための基本的なステップをご紹介します。

まず、相続登記は「相続開始を知った日から３年以内」に行う必要があり、期限を超えると最大１０万円の過料が課される可能性があります。司法書士へのご相談がおすすめです。金沢市では土地家屋調査士や司法書士などの専門家相談窓口も用意されており、不安な点を気軽にご相談いただけます。

書類面では、戸籍謄本や遺産分割協議書、登記事項証明書など多数の書類が必要となります。これらは市役所や法務局で取得できますので、余裕をもって取得されることをおすすめします。

売却のステップでは、まず査定依頼を行い、適正な価格をご提示します。その後、購入希望者との契約、引き渡しへと進みますが、この間に発生する手数料や税金、必要な手続きをあらかじめご案内いたします。

ご不明な点やご不安なことがあれば、いつでもお気軽にご相談ください。一緒にスムーズな売却を進めてまいりましょう。

まとめ

金沢市で相続により空き家を取得した場合、そのまま放置していると法的な義務や様々なリスクが伴うため、早めの対策が重要です。売却を検討される方は特例控除や市の補助制度が活用できる場合もあるため、制度の期限や手続きにも注意が必要です。また、金沢市では立地や築年数によって売却のしやすさや査定額が大きく変わる傾向があります。初めての方でも確実に進めるためには、準備や流れを押さえ、専門家に相談することが安心への第一歩となります。不安や疑問があれば、どうぞお気軽にお声がけください。